信州上田の焼鳥は、ひと味違う「おいだれ」で味わう

和食の定番として外国人観光客に大人気の焼鳥

焼鳥専門店で炭火焼の煙を浴びながら食べる焼鳥は格別の美味しさ、ビールがすすみます。最近はスーパーの惣菜コーナーやコンビニでも手軽に買えるオヤツとしても人気ですね〜。塩とタレのどちらかを選ぶのが一般的、タレといえばこれぞ日本の味!という甘辛いタイプ。でも実は信州上田育ちの私にとってこれは新しい味でした。

上田の焼鳥、ニンニク醤油ダレが定番

子供の頃、家族で外食の一つの選択肢に焼鳥がありました。とんかつ屋さん?中華?ラーメン?焼鳥?どうする〜?そんな感じです。昭和40年代、ファミレスなんてものはありませんから、食事は専門店に行くのが当たり前でした。我が家では焼鳥といえば「鳥正」、広い店内に入ると煙がモクモク〜お酒を楽しむ男性達だけではなく家族連れも当たり前、焼鳥メニューはもちろん豚カシラ、豚タンなどの焼トン、モツ煮もありました。すでに塩味がついている焼き物が運ばれて来ると、アツアツのうちに特製ニンニク醤油ダレの入った器ににズボッとつけてパクつきます。これがほんとうにおいしくて、何本でも食べられてしまうんです。焼鳥食べた翌日はニンニク臭いので「昨日焼鳥食べたでしょ〜?」って。焼鳥を食べるとニンニク臭くなるというのが上田のあたりまえなんです。焼鳥を持ち帰りにしても紙コップに入ったニンニク醤油ダレも一緒です。
進学で東京暮らしになった時、焼鳥のタレってこれなんだ〜と逆に新鮮でした。

そのタレ、最近は「おいだれ」とよばれている

上田で初めてやきとりを食べる方々が新鮮に感じるニンニク醤油ダレ、最近は上田の食文化を表現するとかで市民有志の命名により「おいだれ」と呼ばれているようです。漢字で書くと「美味だれ」。

「おいだれを」作ってみよう!「おいだれ」レシピ

公式サイトでは「ニンニクたっぷりの醤油」という表現がぴったりのタレと紹介されているとおり、大量のニンニクを使います。生姜を入れる場合はあくまでもニンニクより量は少なめで。また信州らしくリンゴも皮ごと使います。

★写真は倍量作った時のものです。

リンゴ 1個
玉ねぎ 1個
ニンニク 50g
生姜 30g
沖縄の黒糖 5〜8g お好みで

日本酒 100cc
濃口醤油 200cc

芯を取ったリンゴ、玉ねぎ、ニンニク、生姜を適当な大きさに切ってミキサーで撹拌。少量の水を加えると容易に撹拌できます。

鍋にミキサーの中のものをすべて入れ、日本酒と醤油を入れ火をつけます。

こんな感じに沸いてきたら火を弱め、アクをすくいます。

15分〜20分煮たら仕上げに隠し味として黒糖をちょこっと。甘くする目的でなく、あくまで隠し味なので少量で。リンゴの味や大きさで毎回味が変わるのも楽しいところです。

応用 〜 寝かせたり、ワインを加えたり おいだれは万能調味料!

出来上がったらペットボトルや瓶に移して冷蔵庫保存しますが、できれば半年から1年寝かせてから使うと美味しさが格段にアップ。

レシピの日本酒を赤ワインに変えると牛肉やレバーに良く合うタレになります。
私は日本酒50cc、赤ワイン50cc(半々の量)で作ることが多いです。
市販の焼き肉のタレのように甘くないので飽きません。焼肉やローストビーフのタレとしてはもちろん、焼いた海老やホタテなどのシーフードにも、ラム肉にもピッタリ!野菜炒め、カレーやシチューを作る時においだれを隠し味に加えるとグッとコクが出ます。マヨネーズやオリーブオイルと混ぜてドレッシングにしても美味しいです。
賞味期限はありません。私の経験では冷蔵庫に入れてればずーっと大丈夫です。新しい「おいだれ」を仕込む時に、古い「おいだれ」を加えています。(保存は自己責任でおねがいします)

上田駅までは新幹線で東京駅から1時間30分、地元のおいだれを味わいに行ってみてください。「おいだれ」がある焼鳥屋さんは、上田市内に60軒ほどあるそうです。知らんかった!

記★料理人punkichi