沖縄のお祝い事には欠かせない「田芋」は貴重な伝統食材

田芋、その名の通り田んぼで育つから田芋

でも沖縄県外の人にはほとんど知られていません。その豊かな香りと地味ある味は一度食べたら病みつきになると言われているほどです。

田芋の名産地は沖縄のどこ?

田芋は里芋やタロ芋の仲間ですが、水をはった田の中で育つ独特の芋です。けれども沖縄に行けばどこでも手に入ると思ったら大間違い、田芋は水道の水でなく天水や湧水のような天然水でないと育ちません。苗は機械では植えられず人の手によって一本づつ丁寧に植えられていきます。田の中に次々生えてくる雑草も、田芋の茎を倒さないよう機械ではなく人の手で除かれます。沢山でんぷん質を含んだ美味しい田芋を育てるには非常に手がかかることから、年々田芋農家は減り続けているそうです。

見た目は里芋に似ていますが、ほら、田んぼの中です!

昔は宜野湾の大山が産地として有名でしたが、都市化に伴い田芋畑は減少中。現在田芋畑が多いのは国頭村金武町。億首川近くには田芋畑が広がり、青い空と葉茎が田んぼの水に映る様は一見の価値アリです。

田芋の旬はいつ?

田芋は、親芋の周りに小芋が沢山付くので子孫繁栄を願うおめでたい食材です。そのような意味からお正月や旧正月の時期が出荷のピークと言われています。ということは旬は冬場ということになりますが、実際には通年育てることが可能だそうです。ただ夏場は台風が多いので田んぼの管理が難しく、通年育てている農家さんは多くないとのことです。

通年、田芋の管理を続けるのはとても大変な仕事なのです。

田芋はどうやって食べるの?

田芋は収穫後、茎部分と余分なひげ根を切り落とし洗浄されます。

収穫したばかりの田芋

茎、根を切り落とした状態

その後あまり時を置かずに茹でなければなりません。田芋は生のまま置いておくと日持ちしないので、農家さんは茹でるところまでやって始めて出荷できる状態になるのです。


専用のかまどで薪を使い天水を沸かして茹でられた(農家さんは炊くと言います)田芋は青みがかった紫鼠色。


一度茹でてしまえば冷蔵、冷凍保存も可能になり、ようやくここから扱いが楽になります。

通年田芋を育てている金武町の「ひかり農産」宮城さんにいろいろ教えていただきました。

茹で田芋の皮を剥いて適当な大きさに切って揚げるだけの「田芋の素揚げ」は、素朴ですが、田芋本来の味と香りが楽しめます。私はこのシンプルさがいちばん美味しいと思います。それだけに素材である田芋そのものが重要になるのです。

沖縄の定番田芋料理は「どぅるわかしー」です。田芋のきんとんのようなものですが甘くはありません。豚肉やかまぼこ、田芋の茎(ムジといいます)を出汁で味付けしたものと田芋を、加熱しながらゆっくりと練り上げて滑らかに仕上げたものです。でんぷん質の多い良い田芋でないと、ねっとり仕上がらないのです。これを丸くまとめて揚げた料理が「どぅる天」です。若い人たちはこちらの方が人気のようです。
田芋と砂糖のみで作られたきんとん「りんがく」という料理もあります。

田芋はどこで買えるの?

道の駅やJAの直売所で販売されています。貴重な伝統食材なので芋としては高価なものです。お正月や旧正月にはスーパーの店頭に並ぶこともありますが、台湾から輸入された似た種類の芋の場合もありますのでお店の方に確認して購入してください。

田芋で作る沖縄伝統料理「どぅるわかしー」と「どぅる天」の作り方

「どぅるわかしー」を作れば「どぅる天」も簡単に作れます

の投稿で詳しく説明していますのでご覧くださいね~。

記★料理人punkichi