桑の葉・桑の実は優秀な栄養の塊

桑の葉や桑の実を知っているのは50歳以上または田舎育ちの40歳くらいまで?

かつては養蚕が盛んだった時代、白い蚕は「お蚕さん」と呼ばれていて大切に育てられていました。現在も歴代皇后や皇室関係の子女が皇居内の養蚕施設で蚕のお世話をしています。純国産種蚕も育てられていて、その繭から取れたシルクは国宝などの修復に使う大切な種なんだとか。

私が子供の頃、家の裏側は広い桑畑でした。ウチの桑ではありませーん、ご近所の農家が養蚕もやっていたのです。その家に行くと障子の扉があり、そっと開けてみると…うごめく何か…ぎゃ〜毛虫?幼虫!?

それは真っ白な蚕、ムシャムシャと桑の葉を食べるのみ。養蚕棚は何段かに分かれていて、数えきれないほどの蚕が薄暗い障子の中でひたすら桑の葉を食べていました。桑の葉は新鮮なものでなければ良い繭にならない、イコール、良いシルクができないということになります。当時は至る所に桑畑があったのはそういう理由だったのですね。

桑の木です。藤沢にも何でこんなところに?というような場所にもあります。特に肥料や手入れがされているとは思えないんですが、夏になると葉が茂り実もつきます。

桑の実は寄り道のおやつ

桑の木には初夏から夏まで実が成ります。これが美味しい。小学校の頃は桑の実のある場所をしっかり覚えていて、下校時に寄り道してパクパク食べていました。桑の葉をムシャムシャ食べるのがお蚕さんで、実をパクパク食べるのが子供達というわけです。桑の実の汁は服につくと取れません。口の中も赤紫に染まってしまうので、ベーっとしたら道草くってたことバレちゃいました。(「道草くう」って、今では言わないのかな?ちなみに野草を食べることではなく、真っ直ぐ帰宅せずに寄り道していることを「道草くう」といいます。)

見直されている桑の効能

昭和50年代には養蚕が下火になり桑畑もすっかり姿を消してしまいましたが、蚕が桑だけを食べシルクができるということはものすごい栄養があるのではと調査していた大学や研究者などがいたことで、栄養素が明らかになりました。最近は桑の葉をお茶にしたり、青汁に加えたり、サプリメントなども発売されています。バイオ燃料への研究もされているらしいです。

桑の葉の効能はまるで万能薬!?

沖縄でも浦添市と沖縄工業高等専門学校などの研究機関が、島葉抽出したパウダーを食前に摂取すると血糖値の上昇を約20%も抑えられることをつきとめました。島桑は方言でクヮーギ、南西諸島のみ生育し本土の桑と違い冬場も落葉せず一年中発芽生育。ある程度成長すれば台風に対する耐性も問題なし。近年は長寿県から陥落してしまった沖縄の健康増進に貢献すること間違いなしです。

他にもビタミンA(βカロチン)、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC、ビタミンE、亜鉛、鉄、マグネシウム、カルシウム、食物繊維、ルチン(ポリフェノール)などが含まれています。

桑の実の効能もやっぱりスゴイ

カルシウム、
鉄などのミネラルが多く、含まれる成分は桑の葉と似ていますがカリウムも豊富。カリウムは塩分を排出しするので塩分摂取量の多い現代の食事の救世主。抗酸化作用で知られるアントシアニンやポリフェノールも豊富。ポリフェノールと言えば赤ワイン、桑実の色はまさにあの赤ワインそのものですよね。そして数種類のアミノ酸がバランス良く含まれているので身体の組織の再生に効果があるとのこと。

古くから中国、新疆ウイグル自治区などのシルクロード地域、台湾では咳・喘息鎮静、血流改善、滋養強壮、長寿の生薬として民間に広まっていたそうです。

桑の木がもっと植えられて、簡単に手に入るようになればいいですね〜。
桑の実を食べてみたい方は桑の実コンフィチュールソースのアイスクリーム」を食べにくてくださーい。

記★料理人punkichi