沖縄の食文化、あちこーこー島豆腐の伝統はいつまで守られるのか?
沖縄独特の島豆腐とはどんなもの?
一丁は800グラム~1キロ、写真は半丁
沖縄の美味いものを教えてといわれたら、まず島豆腐と答える。木綿豆腐のようで木綿豆腐ではない。それはひとくち食べればはっきりわかる。表現しがたい弾力とやさしい塩味、それに加え地釜製法のものは独特の香ばしい香りもある。昔は海水を汲んできて潰した大豆と合わせ作っていたそうだ。海の汚染が進んだから?綺麗な海水を深いところから汲むのが大変だから?かどうかわからないけれど最近は海水の代わりに水とにがりと塩を加えて作るのが主流となった。けれども離島やこだわりの強い豆腐屋さんでは、昔ながらの製法での島豆腐作りが守られている。
内地の豆腐は「煮立てしぼり製法」で、すり潰した大豆を水と一緒に煮て、熱いうちにおからと豆乳に分離しにがりを加え固める。さて島豆腐はというと「生しぼり製法」で、熱を加える前におからと豆乳に分けてから煮立ててにがりを加え、アツアツのうちに型に入れて固める。
島豆腐は重く固く熱い
固いのは想像できるけれど熱いって?そう、不思議でしょ?内地では完成した豆腐は冷たい水で冷やし、切り分け、パックに詰めて出荷する。島豆腐は違う。型に入れて重石をして2時間ほど水分を抜いたら切り分け、豆腐屋の名入りビニール袋に入れられ、熱いうちに出荷!なのだ。だから島豆腐はあちこーこー(アツアツ)と決まっている。買い求める人は一様にその温度を確かめる。あちこーこーだったらラッキー!買う予定が無くても買ってしまう!
このタイミングで買うことが出来たらさっさと家に帰ってすぐに食べるべし。もしくは鰹節も一緒に買って、お箸をもらって、そのまま海にでも行って、鰹節をビニール袋の中にぶっかけて、まふまふ食べてほしい!いちばんにおすすめする沖縄の美味しいものだということがわかるだろう。
注意:ビニール袋内の水分は売場に設置されているバケツ等に捨てるのをお忘れなく。
こちらもご参考まで~ 「島豆腐、旅行者にとって便利な食べ物なの知ってる?」
あちこーこー豆腐、いつまで食べられる?
来年2021、6月から、そのあちこーこーが手軽に食べられなくなるかもしれない。食品衛生法の基準HACCP(ハサップ)に沿うと、現在の販売方法では基準違反になるというのだ。豆腐の温度が55度以下になった場合は3時間以内に消費するか、冷蔵庫で保存しなくてはならない。
沖縄県食品衛生教会によると、冷やさず出荷する島豆腐は55度以下になるとセレウス菌が繁殖しはじめ4時間を越えると食中毒を起こす危険性が高くなるというのが理由。アツアツを保つ保温器に入れるか、冷やすか…?うーん。既にパックに詰められ要冷蔵で売られている島豆腐もあり、今後はこの方法に移行していくのかもしれない。するとあの独特の弾力はもう味わえなくなってしまう。残念だ~。
1972年の日本本土復帰の際、当時の沖縄豆腐加工組合が本土とは違う豆腐の文化を守りたいと国に陳情し今日まで守られてきたのだ。それくらいこのあちこーこー豆腐は愛されている。ボリュームがあって安価な島豆腐はどんな料理にも応用可能、一丁買えば家族全員の空腹を満たしてくれる。沖縄県の個人の豆腐消費量は全国平均の約2倍だということも納得がいく。
島豆腐の美味しい食べ方
そのまま、鰹節だけ
ネギや醤油はいらない、と私は思っている。地釜製法の癖のあるタイプであれば尚更のこと。香ばしい地釜豆腐にスモーキーな鰹節はとてもよく合うし、その旨みと島豆腐本来の塩味だけで大きな豆腐がペロリと胃袋におさまってしまう。
サラダとして
たっぷりの生野菜に好みのドレッシングを和えて、豆腐はそのまま横に添える。ごま油、オリーブオイル、トリュフオイルも合う。モッザレラチーズのごとくの存在感。
鉄板焼
私のオススメの食べ方。焼くことで島豆腐独特の弾力が増す。ソーセージや肉から出た脂や塩分をまとわせながら、全ての面に焦げ目がつくまでじっくり焼いて欲しい。ビールお代わり~!
チャンプルー
説明はいらない。美味しいに決まっている。
レシピはこちらに~ 「島結定番「ゴーヤーチャンプルー」を美味しく作るコツ」
島豆腐、来年にはあちこーこーでは食べられなくなるかもしれない。それまでに沖縄旅行ができたらスーパーの島豆腐コーナーへ!地域によって豆腐屋さんが違うので食べ比べる楽しみもある。ぜひともあちーこーこー体験を!
沖縄には行けない、でもどうしても島豆腐が食べてみたいという方、あちこーこーではないけれどこちらで買うこともできる。内地の豆腐にはない美味しさを実感できるはず。